「経営は判断ミスを少なくするゲームであり、ミスを減らす唯一の方法は出来るだけ色々な人の意見を聞くことである。お互いのコミュニケーションが切れると疑心暗鬼になり、余分なエネルギーがかかる。」
これはかつて仕えた上司の言葉ですが、経営(マネジメント)とコミュニケーションの本質を言い表しています。
先が見通せない、何が起こるか分からない世の中で、我々の仕事には様々なリスクがあります。リスクは避けてばかりでは仕事にならないので、取るべきリスクを取りながら、リスクを上手に「てなずける」必要があります。
そこで大事なことは、物事をよく見極め、マネジメントとして「善い判断」をすることであり、判断ミスをしない、ということです。判断ミスをしない為には、色々な角度から情報を集め、先入観や固定観念を持たずに分析する必要がありますが、それには色々な人から話を聞くことがとても役に立ちます。寧ろ、自分の考えとは異なる意見を出来るだけ積極的に収集した方が、判断ミスを少なくすることにつながります。
様々なコミュニケーションを通じて、「死角」をなくし、物事の本質を捉え、ナレッジを共有することが、失敗を未然に防ぎ、組織としての成果を上げることに直結します。
コミュニケーションが途切れると相手が何を考えているか分からず疑心暗鬼になる、というのも往々にしてあり得ることです。コミュニケーションが信頼を築く基礎となる一方で、強い信頼関係にある間柄においては、情報やナレッジは「減耗」が少なく、必要なことを短時間で伝え、共有することが出来ます。信頼は情報伝達の潤滑油であり、それは日頃のコミュニケーションによって支えられている、という関係です。
マネジメントの判断ミスを少なくするには、組織内で情報やナレッジが円滑に流通する精度を高める必要があり、その為には、情報やナレッジを上手にやり取りするスキルを組織的に高める努力も大切です。
貴重な情報とは、往々にして遠慮がちに出される少数意見、或いは「言い出し難い」意見であることが多いものです。電波でいえば「微細な電波」であり、それをキャッチするには感度の良いアンテナが必要で、それをキャッチした後の取扱いも微妙なタッチが求められます。そのような貴重な意見の取扱いがきちんと出来る組織は、様々な機微情報を的確に流通させることが出来、それがマネジメントの判断ミスを少なくし、組織のパフォーマンス向上につながるものと考えています。