学生時代に合気道の鍛錬を始めた頃、先輩から「技は厳しく、投げは優しく」ということを教わりました。合気道というのは、護身術にも採り入れられているように、女性やシニアでも稽古ができる、比較的「柔らかい」武道だと思われがちですが、元々の技の本質は厳しく、大怪我につながるような激しさも持ち合わせています。それ故に、稽古においては、本来の技の切れ味や厳しさを維持しつつ、最後の投げの部分のみ、相手が受身を取り易いように優しく投げてあげる、ということです。
我々の仕事と職場も似たような関係にあります。
我々の仕事は、お客様のニーズに応えるために、細心の注意を払い、事故やミスを未然に防ぎ、予定された時間内に仕事をやり遂げるという、とても責任の重い、色々なプレッシャーを感じる仕事です。取引先や社内外関係者からの期待値が高く、それに応えるために「プロの仕事」、高いレベルの業務品質が求められています。
従って、決して手を抜かず、しっかりとした仕事を積み重ねなければなりません。プロの仕事を完遂するために、失敗を未然に防ぐというリスク管理の観点からも、気がついたこと、懸念事項や改善すべきことなどは、率直に対話する必要があります。その目的のためには、お互いに厳しいことを言わなければならない局面もありますが、それはレベルの高い仕事を目指しているからこそのものであり、緊張感を持って仕事を遂行するために不可欠なことです。
一方で、職場は楽しくありたいものです。一生の内で同じ時に同じ組織で仕事をする、というのは「奇跡的な出会い」です。そのような出会いに感謝し、仕事を楽しめるような雰囲気をつくり、お互いに忌憚なく言いたいことが言える、風通しの良い、働き易い職場で働く、というのは誰しもが望むことです。
「楽しい職場」というのは、単に面白おかしい職場ということではありません。プロとして共に厳しい仕事をしながら、それを楽しむには、組織がチームになることであり、組織構成員が仲間になることです。チームには「共通の目標」が必要です。それは誰でも達成できるような目標ではなく、チーム全員が力を出し切らないと届かないような高い目標であり、だからこそ皆で知恵を出し合い、努力を重ね、その結果として目標に到達し、大きな達成感を感じる、という性質のものです。
チームには、強い結束力で結ばれた仲間がいます。悩みや課題を共有し、相手に共感し、お互いに助け合い、各人が持てる力を十分に発揮することで、緊張感と連帯感を持った、楽しい職場が実現します。
我々の人生において、会社生活の占める割合はとても大きく、会社生活が充実していないと人生を楽しむことになりません。皆さんにはやりがいのある、充実した会社生活を送って頂きたい、と考えています。
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2025年8月8日
#13