全ての人に一日24時間、一年365日が与えられている、という点で「時間」は極めて平等なものです。一生の長さは人によって異なりますが、寿命に限りがある、という点では皆同じであり、限りある時間をどのように有効に使うかは、我々一人ひとりに共通した命題です。
時間の「目盛」は人間が決めたものであって、必ずしも絶対的なものではなく、また時によって長く感じたり、短く感じたりすることがある、という意味で多分に感覚的なものです。心理的な要因も絡むことから、「時間感覚の定石」を正しく理解することが、効率的な時間の使い方につながります。
何かの仕事の為に、ある時間を与えられた場合、人間はその時間を目一杯使ってしまう、という法則(「パーキンソンの法則」)があります。また、選択肢の中から一つを選ぶだけでも、締切が近づかないと決めない(他の選択肢の可能性を完全には捨てたくない)、という人間の性質もあります。これら人間の一般的な性質を踏まえて、締切の設定や時間の使い方を工夫することで、組織として時間やスケジュールの最適化を図ることができます。
やるべきことに対して、十分な時間がないと感じる場面は多々あります。物理的な仕事量に対して個々人の能力や人数が足りない(仕事量が多過ぎる)ことに原因がある、という場合もある一方で、組織内のリソース配分(負荷分散)の問題であったり、組織内外との「調整」に必要以上の手間と時間が掛かったり、自分の力だけでは解決出来ない問題に遭遇して、それを乗り越えるのに多くの時間を要したり、ということもあります。
後者の問題に対処する、一つのキーワードは「他人の時間をうまく使う」ということです。これは一方的に相手を利用する、ということではなく、お互いの為にお互いの時間や能力をうまく活用し合う、という意味です。組織内外との「調整」についても、それを得意とする人がいれば、その人の力や知恵を借りることで進捗を図ることもできます。自分(達)の力だけでは解決出来ない問題は、早めに他者を巻き込むことでその解決を促進することも大事なことであり、うまく他人の力を使うことによって、時間が掛かる元となるような問題を発生させない、という意識を持つことも重要です。
また、難しい、時間の掛かる仕事に取り組む場合には、それを幾つかの段階に分け、細かな単位にすることによって、時間(締切)も細分化し、一つひとつの目標のハードルを下げ、取り組み易い形にすることで、関係者の心理的な圧力を緩和することも有効です。
時間は、物事を成し遂げるのに必要不可欠なリソースです。我々の成し遂げるべき仕事を効率的に遂行する為には、貴重なリソースである、自分と他者の時間の使い方には最大限の気を配り、無駄な時間、手戻り、空回りするような仕事をなくし、皆の共有財産である時間を賢く使いたいと考えています。
「時間だけは神様が平等に与えて下さった。これをいかに有効に使うかはその人の才覚であって、うまく利用した人がこの世の中の成功者なんだ」(本田宗一郎)
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2025年10月10日
#22